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ナンパに成功したと思ったらマルチ商法(アムウェイ)の勧誘をされた話

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去年、ぼくは就職するとともに上京した。

 

上京したてのぼくは、東京の遊びというものを体感したくていろんなことに手を出していた。

 

そのひとつが「ハブで女の子をナンパする」だったのだがここで起こったエピソードについて書いてみた。

 

 

 

ナンパは会社の同期とやってみたのだが、今までナンパなんてしたことがなかった。

 

だから、話しかけることもままならず、話しかけれたとしてもほとんど断られた。

 

何度か会話を続けることができたときもあったが、そのまま2件目へ誘い出すところまでは進まないし、ラインすら交換できていなかった。

 

 

 

そんななかで、気づけばこの日はもう3日目のハブでのナンパに挑戦していた(我ながらこりないものである)。

 

3度目の正直だ!と意気込んでぐいぐいいったこともよかったのか、何人か声をかけてみて、話をしてくれる女の子がなんとか見つかった。

 

そして、その女の子とはすごく話があって、趣味の話で盛り上がった。

 

ぼくは大人数を呼んでホームパーティをよくするのだが、その女の子もそういうのが好きなようで、そんな話をずっとしていた。

 

そして、今度そういうホームパーティやりたいねってことですごく自然な流れでラインを交換できた。

 

そのまま2件目とはならなかったが、ぼくとしては上出来である。

 

 

 

その次の日、女の子からラインがきた。

 

こんど友達の家でホームパーティーするから来ないかとのお誘いだった。

 

まさか本当に誘ってくれるとは思っていなかったのもあり、もうわくわくが止まらない。

 

すかさずぜひ行きたいとラインを返して、ホームパーティの予定を取り付けた。

 

ホームパーティ当日、最寄りの駅で女の子が待っていてくれて、もうその女の子を彼女にしたかのような感覚で一緒にその友達の家に向かった。

 

10人くらい集まったホームパーティで楽しくお酒を飲んでおしゃべりして、これでもかというくらい楽しんで帰宅した。

 

そして、もちろん誘ってくれた女の子とは駅まで一緒に帰った。

 

 

 

そのあとも軽くラインを続けていると、また宅飲みをしたいから来てほしいと誘われた。

 

今度は、ぼくとその女の子とホームパーティの時にいた男の人の3人でやるようだった。

 

10人の次が3人だから、その次は2人であんなことやこんなことを、、、と妄想が止まらない。

 

そんな浮かれたことを考えながら、宅飲みの日を楽しみに待っていた。

 

そして宅飲みの日、今回は男の人のマンションで開催された。

 

部屋に向かうと、照明がオレンジで、観葉植物が置いてあってすごくおしゃれでお金持ちそうな部屋であった。

 

「すごいいい部屋に住んでるんですね。」

 

と言うと女の子がすかさず、

 

「この人はすごい人なの。なんでもできるし、おしゃれだし、かっこいいし。」

 

と言った。

 

あれ、ぼくのことが好きだったのではなかったのか?

 

とどこか不穏な空気を感じた。

 

「けっこうこの部屋借りるのは高かったんじゃないですか?」

 

と聞くと、

 

なんでもこの男の人は、会社で働いているのに加えて個人での事業で月に何十万円も稼いでいるらしい。

 

どんな事業をしているか聞いてみると、言ってもなかなか理解してもらえないので、まだ話せないと言われた。

 

まずはお金の仕組みについて理解してほしいので、うんぬんかんぬん、、、と1時間ほどひたすら、説明をされた。

 

 

とりあえず、「金持ち父さん、貧乏父さん」という本を読むと世界が変わるらしい。

 

話を一通り聞いた後で、さすがにもう教えてくれるだろうと思い再び聞いてみた。

 

「ところでなんの事業をしているんですか?」

 

 

男の人は答えた。

 

 

アムウェイっていう企業がすばらしい商品をたくさんつくっているから、その商品を販売しているんだよ。」

 

 

 

 

で、でた。あのマルチ商法で世界に名をはせるアムウェイである。

 

 

そして、その瞬間ぼくの心は打ち砕かれた。

 

 

始めて、ハブでのナンパに成功して、ついに彼女ができると思っていたぼくの気持ちの裏で、女の子はマルチ商法の商品を売りつける相手を探していたのだ。

 

おいしい餌があると思ってぬかぬかと近づいて行ったぼくは、マルチ商法という罠に自ら引っ掛かりに行っていたのだ。

 

 

なんと情けなく、恥ずかしい話なんだろう。

 

あの時のぼくの気持ちを思い出すともう穴があったら入りたい。

 

もう怖くて女の子をナンパするなんてことはぼくには一生できない。

 

 

 

そして、ぼくはアムウェイの会員登録をさせられ、命からがらその家を抜け出すと、泣く泣く帰路についたのだった。

 

 

 

なんて東京は怖い町なんだろう。

 

 

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